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カリスマに共通する2年で休止という奇妙な一致

2016.05.09:体験レポート
カリスマに共通する2年で休止という奇妙な一致

どうも!買い物中毒のファション通販アドバイザーの野田(@KURUZE)です。お買い物してますか?

今日は、短パン社長こと奥ちゃんのブログの一説から。

20弾までいったら、Keisuke Okunoyaは一旦休止します。

( いや、もしかしたらもう少し早いかも。)

これまでボクが着てるお洋服、ボクが好きなアイテムはたくさん出してきました。第1弾から購入してくれてる人は、もう上から下まで揃ってきたでしょう?

そんなにお洋服要らないでしょう?(笑)

だからやめます。

ちょっと新しい事をまたやりたいなってボクの中で思ってます。

っていうか、売れてるのに休止するって、何かオモシロいでしょう?(笑)


これは世界初の関係性ブランドであり、事実SNS上だけで販売している奥ちゃんのプライベートブランド Keisuke Okunoya の今後についての発表だ。

この発表を受けて「もったいない」や「寂しい」といった声が大半だとは思うのですが、僕は「さすが!分かってらっしゃる!」と共感すると共に、僕が大きな影響を受けたストリートファッションのカリスマ、藤原ヒロシさん ( 以下ヒロシさん ) のスタンスと重なって見えました。

それは「売れてるのに休止する」という部分。

今日のブログは、ヒロシさんから「売れてるのに休止する」ことの大切さを学んだお話です。昔話が多いので、年数とかうろ覚えなとこもあり事実と違ってたらゴメンなさい(笑)

 

誰しもが憧れた「G」のロゴ

今から20年以上前のお話なのですが、僕はとあるブランドにハマっていました。それはGOODENOUGH ( 以下グッドイナフ )という、僕ら世代のストリートファッション好きからすると頂点に君臨するブランドです。

渋谷の並木橋の手前にあったELTと呼ばれるお店で取り扱っており、公式発表によるとデザイナーは不明とされていましたが、ファンの間ではヒロシさんが手掛けているというのは承知の事実。

切り替えやヨーク部分にロゴが入ったネルシャツ、袖が切り替わったモッズコートなど、裏原史上に残る名品を数多く展開していました。

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これは2010年に時しらず限定で復刻されたGOODENOUGHのモッズコート

どのくらい人気だったかというと、1万8000円くらいで買ったパンツを散々穿いた後にフリマで売っても3万くらいで売れてしまう(笑)。そんくらい。しばらくして通称「委托屋」と呼ばれる買い取った商品を転売する二次流通のショップや「クアント」という個人売買の情報誌が発行されると値段はさらに高騰。人気アイテムなら5万とか10万なんてザラでした。

発売する型数も少なければ、枚数も少ない。手に入るだけでお涙もん。当時グッドイナフはそんなブランドでした。でもヒロシさん休止するんですよ。人気絶頂の最中に。

扱う店舗も全国で40店舗まで伸びてきたのに、一番いいときにヒロシさんが「半年休もう」と言い出してスコーンって辞めました。


と当時の関係者は語っています。

 

伝説のセレクトショップREADYMADEもわずか2年ほどで閉店 

97年には原宿にレディーメイドというショップを出します。今のヘッドポーターがある場所ですね。商品はグッドイナフ後にヒロシさんがはじめた「フィネス」「モアアバウトレス」「エレクトリックコテージ」といったオリジナルから、ナイキの限定商品、エイプやアンダーカバーの別注品など、置いてあるアイテムがすべてスペシャル。もうキラキラして見えました。

関係の深い他ブランドの人気アイテムをレディーメイド仕様にアップデートしてリリースする。当時専門学生だった自分には、この型破りな販売手法に度肝を抜かされつつ、ヒロシさんのビジネスセンスに舌を巻いた記憶があります。そして買い逃したアイテム( に近いモノ )を再度購入できるチャンスに興奮を覚えたものです。


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97年に発売されたレディーメイド限定で発売されたアンダーカバーのスニーカー。通称オールスタータイプ。このスニーカーのオリジナルカラーは、僕が世界で一番カッコいいと思っているスニーカーです

当然、店は大行列。整理券が配布されます (=セブンスターズがデザインしたこの整理券すらカッコ良かった!)。あまりの行列に近隣からの苦情も大変だったそうです。でもヒロシさんはこの超絶人気ショップもミレニアムというタイミングもあり1999年12月で閉めます。

どこまでも人気が続くわけがないとわかっていたし、ある程度の所で辞めたいとずっと思っていたんです。そこにミレニアムっていういいタイミングが来て、1999年12月に終わったんです。洋服は早い期間でどんどんと変わるのに、内装は変えられないから凄くフラストレーションがたまって、ある時自分の店には行きたくなくなる。

今でも辞めたのはもったいなかったと言ってくれる人はいっぱいいるけど、NIGOたちが土台を作ってくれた後の一番いいタイミングで始められて、自分の役目が終わったと感じられる一番いいタイミングで辞められたと思います。

 

 

プールから駐車場へ。次々とコンセプトを変えて飽きさせない仕掛けの数々

この間にはAFFAというアンダカバーのデザイナーであるJONIOさんとのコラボブランドの休止・復活もありました。

そして自分でブランドを持つという表現方法ではなく、リーバイスやナイキ、ポーター、カーハートなど、色々なブランドのディレクションを手掛けるようになっていきます。

ブランドとして大きくなると人数も在庫も増えて、飽きても仕事として続けていかなければならない。当然アパレルの人気なんて水物なので、人気絶頂だからと強気で商品を積み込んでも半年後には閑古鳥が鳴いて在庫の山だけ残る。そんな事例には事欠きません。

でもヒロシさんは自身のブランドという表現ではなく、フラグメントデザインという名義で色んなブランドにセンスとノウハウを提供することでビジネスの幅を自由かつ大きく拡大していったように思います。

記憶に新しいところでは、2014年4月に the POOL 青山 というショップをオープンして、これも人気真っ只中の2016年3月に閉店させてます。その後すぐにTHE PARK・ING GINZAという駐車場をモチーフにしたショップを銀座にオープンさせました。

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両カリスマに共通する2年で休止という奇妙な一致

こうして見ると人気絶頂でも2年くらいで余韻を残しまくりつつ終了させている。だから飽きることなく「昔は良かったのにね」なんて落ち目になることもない。常になにか新しい仕掛けが出てくるのでは? というワクワク感があるので、その発信からは常に目が離せない。

でも人気絶頂の最中に辞めるって想像するより、圧倒的に大変なことだと思います。周りの理解も含めてね。でもそれをあえて捨てることで伝説として語られ、影響力がより一層増していく。

奇しくもKeisuke Okunoyaも2年で活動休止を発表。同い年とはいえ裏原系ではなかった奥ちゃんは、ヒロシさんを意識したことないと思います。でもこの奇妙な一致には思わず唸ってしまいました。

僕も休止までにこのお祭りに参加せねばという危機感が出てきました。って、おそっ(苦笑)。次回のアイテムは何かな〜。夏に向けてまたVネックTシャツとか出ないかな〜。3枚パックとかで。あ、確かにこれだけで楽しい (笑)。

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野田 大介

野田 大介

株式会社ファナティック代表取締役
月刊誌Ollie magazineの編集者からキャリアをスタート。その後は、フリーライターとしてhoneyee.comやLightningなどでの執筆、複数のアパレル企業で商品企画、生産管理、店舗/卸営業、通販業務を歴任。現場の最前線で培った通販の運用実積に加え、メディア業界で培ったコンテンツ・マネージメント力、そして長年のアパレル経験と、アパレル通販を運営する上で必要な知識と現場経験の両面を網羅。趣味、というか生きがいは「買い物」

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