お客様を虜にするプロモーション効果絶大のノベルティ配布方法
顧客体験を重視してプロモーション効果を上げるノベルティの配布方法
こんにちは野田 (@KURUZE) です。
今回のテーマは、ノベルティについて。実店頭やECサイトでよく実施されている「1万円以上ご購入でノベルティプレゼント」というようなイベントですが、その配布方法に少しアレンジを加えて、お客様と「モノ」ではなく「体験」でエンゲージできるような方法のご提案です。
いくら以上購入でプレゼント!と告知した時点で「モノ」勝負
例えば「1万円以上ご購入でノベルティプレゼント」というようなイベント。これを実施することによって、ファンの方へ事前に告知することができるので、ノベルティ目当てに来店してくださるお客様を確保することができます。ただしこの方法はとっくの昔に使い古されており、ノベルティを豪華しなければ集客できないという実質的な価格競争に陥っています。
今回はポーチ、次回はミラーなど、毎回ブランドやメーカーの方は試行錯誤を繰り返し、様々なノベルティ企画を進めるのですが、これだけモノも情報も溢れた時代に、高いお金を出してまで欲しいノベルティってどこまであるのでしょう?
しかも景品表示法の縛りでコスト上限は決まっています。その範囲内にコストを抑え、お客様に毎回「欲しい!」と思ってもらえるようなノベルティを作り続けることは相当困難なタスクです。段々とアイデアもなくなっていきます。
しかし半期のプロモーション・スケジュールには「ノベルティ配布キャンペーン」と記載があるので作らねばならない。そうなるとアリバイ作りの置きにいった内容になりますし、そんなものがノベルティ慣れしている今のお客様に「欲しい!」と思ってもらえることはないでしょう。せっかくコストをかけて作ったのに「買ったら付いてきたモノ」としてお客様の中で、ぞんざいに扱われていきます。
また、この手法で集客したお客様は ( 一定のファン度はあるものの )「モノが目的」になりがちです。次回、同じようなイベントを開催する際、配布されるノベルティが気にいらなければ来店していただけない可能性があります。
そして何より問題なのは、ノベルティをもらってもファン度が高まることがないということです。
なぜなら事前に「配布する」と告知しているからです。
お客様に告知した以上【 どんなに豪華なモノでも、条件を満たせばもらって当たり前 】となります。この状態でノベルティを受け取っても、それは想定内の出来事ですので感動を覚えることはなく、あくまでノベルティの善し悪しで満足度が変わるだけ。
せっかくコストも時間もかけて制作したノベルティですから、どうせならお客様にプレゼントした際に感動という「体験」を味わっていただき、自社のファンになっていただきたい。
それは配布するノベルティを変えずとも「配布方法」を工夫するだけで可能になります!
配布方法1 告知しないで、サプライズ感を演出する
1つめは単純に告知しないという方法です。新作入荷時やフェア開催時にノベルティの配布を合わせて行うことって、よくありますよね。その際、告知するのは新作入荷やフェア内容だけに留めて、ノベルティについては告知しないという方法です。
確かにノベルティの告知を削ることで、集客は一定数落ちるでしょう。しかし新作入荷やフェアと聞いてご来店いただいたお客様が、予期せずノベルティを手にしたら予想外の出来事ですので深く印象に刻まれます。
実際、私はバースデーの際にこの配布方法をよく利用します。あるクライアント様の例をあげると、誕生日当日にバースデーメールが配信され、誕生日の前後数日間にご購入いただいたお客様にはメッセージカードとバースデープレゼントを商品に同梱しています。そして納品書には「HAPPY BIRTHDAY」の文字が入るという仕組みになっています。
「誕生日の方にプレゼント!」という告知を見てもらったプレゼントと、予期せず届いたメッセージ入りのプレゼント。例えモノが同じだとしても、受け取った方の気持ちには雲泥の差が生まれてきます。
そして嬉しい出来事はシェアしたくなるのが人の性ですので、告知面での弱さも多少カバーされることでしょう( 喜んでいただくことでファンになってもらうことが目的ですので、シェアはあくまで副産物に過ぎませんが) 。
また細かい点ですが、先着順で配布していたノベルティ在庫がなくなり、買ったのにノベルティが付いてこない! という定番クレームも回避することができます。
配布方法2 告知した上で、わずかな金額差はスタッフの方の裁量にまかせる
2つめは、スタッフの方に裁量権を預ける方法です。これは実店舗で有効な手法になります。
通常ノベルティの配布条件に設定する価格は、もう1点購入をしてもらうために平均顧客単価に若干上乗せします。例えば平均の顧客単価が9,000円であるならば、ノベルティの配布条件は1万円以上が対象という具合に。
その際【 9,000円以上の購入であれば、臨機応変にノベルティを配布してもOK 】というように、ある程度の裁量をスタッフの方に移行します。
例えば、9,000円のワンピースを1点買おうとしているお客様がいます。ノベルティの配布条件を満たすには、もう1点買わなくてはならない状況では、通常「ノベルティがつくので、もう1点いかがですか?」という押し付け型の接客をします。
しかしスタッフの方に裁量権がある場合「今回、特別にノベルティをお入れしておきますね!」という具合に【あなただけという特別感】を演出する接客が可能になります。
告知を見て1万円以上が対象と思っているお客様からすると予期せぬサプライズとなり、そのブランド、さらにはそのスタッフの方のファンになる可能性が高まります。
押し付け型の接客と特別感を演出する接客。お客様との結びつきという観点で考えればその差は歴然。プラスもう1点の売上分は、お客様にファンになっていただくことで、LTV( 顧客生涯価値 )を高めてカバーすれば良いのです。
実際ファンになり、シェアして、リピートしています
最後に私の体験談を1つ。アパレルではなくレストランでの事例なのですが、昨年夏にフェイスブックに下記のような投稿をアップしています。
2013年8月23日
本日のランチ中に突然の豪雨。ランチ営業が終わる15時をすぎてもやみそうもなく、仕方なく店を出ようとすると『雨がやむまでコーヒーか紅茶でもいかがですか?』というスタッフの方のお言葉に甘え、アイスコーヒーをいただきました。20分程で雨もやんだので、お会計時にコーヒー代込みのお金を出すと『サービスですので』というありがたい一言。
別にコーヒー代がタダになったのが嬉しいのでなく、突然の状況の変化にもマニュアルにはないサービスで対応してくれたスタッフの方の機転、またそこで発生するコストを許容してくれるお店、ココが何より素晴らしい。
同じコーヒー1杯でも、最初からキャンペーンで『コーヒー1杯無料』ということであれば、こういう感動はなくお店とのエンゲージは利害関係のみだと思います。でも心意気で無料になった1杯は、同じコーヒーでも『唯一の1杯』となるので、間違いなくまた来店しようというきっかけになります。
やっぱ予想を超えるサービスをして初めて顧客に感動を与えられる、身をもって勉強させていただいた素晴らしいZappos体験でした。
引用 – 野田大介 Facebook
トラットリア タンタボッカ (代々木/レストラン)
私はこのお店で週1回はランチするようになりましたし(=顧客育成)、こうしてシェアもしています(=新規顧客の獲得)。顧客育成と新規顧客の獲得という2つのチャンスを呼び寄せたこの出来事は、偶然とはいえ見事に今回紹介した2つの手法が使われています。
ノベルティを企画する機会が訪れた際には、是非「モノ」から考え始めるのではなく【 お客様とどうすれば深く繋がることができるか 】という視点で、まずは「配布方法」や「シチュエーション」で悩んでください。
お客様に喜んでいただける「配布方法」や「シチュエーション」を見つけることができれば、案外「モノ」はそこに合ったものへと範囲が狭まり、自然と決まっていくことが多いような気がします。
野田 大介
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