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実店舗での会員登録率が4倍アップ!その全手法を大公開!

2019.01.21:体験レポート
実店舗での会員登録率が4倍アップ!その全手法を大公開!

遅ればせながら開けましておめでとうございます!買い物中毒のファション通販アドバイザーの野田(@KURUZE)です。お買い物してますか?

新年一発目のブログでは、昨年取り組んだ「実店舗における会員登録数を伸ばす施策」が効果抜群だったので、ご紹介していきたいと思います。

まずはこの表をご覧ください。これはとあるブランドの店舗における会員カードの登録率の推移を表にしたものです。

touroku

そして会員登録完了に至るまでを数値化したものがこちら。

table1

この表の定義は以下の通り (すべての図はクリックすると拡大できます )

配布率 / 店舗購入のお客様の内、まだ会員ではないお客様に対して会員カードを発行した割合

フォーム登録率 / 会員カードを発行後、マイページで個人情報を入力したお客様の割合

会員登録率 / 上記2つの工程を経て、会員登録が完了しブランドがアプローチ可能となった割合

 

改善前は登録率が10%程度

ボクがこのブランドの支援に入ったのは6月なのですが、色々な指標を見てみると既存顧客の離反が大きな課題であることが分かりました。

通販サイトではステップメールや離反メールなどの施策を行なっており、それなりに継続率はあったのですが、一方で店舗では会員カードはあるものの会員ランクとポイントを実施しているのみ。会員へのアプローチとしてはイベント時にメール配信を行うだけで、他に継続率を高めるための取り組みは一切行われていないという状況でした。

ここでこのブランドの会員カード発行から登録完了までの流れをご紹介します。

step1

ざっくりまとめると

会員カードの発行を確認  → カード発行 → フォームに個人情報を入力 → 登録完了

という登録フロー。

 

まずは意識改善。会員カードの重要性を全国のスタッフの方に知っていただく

まずボクが6月に取り組んだことは、継続率が悪いこと、そして継続率を上げていくにはCRMの実施が必須であり、そのためには購入情報を取得することが必要であると伝えました。その上で会員カードがいかに重要か、ということを店舗回りの際にご説明させていただき、また現状の数値と共に店長会の場でも全国の店長さんにお伝えしました。

また店舗スタッフの方が集まるグループLINEにも参加させていただき、その重要性を説いて回りました。この時に意識したことは「なんで登録してもらうことが重要なのか?」そして「登録後にできること」をこれまでの事例を交えて、イメージできるようにお伝えすることでした。

店舗スタッフの方に取り組んでいただく以上「なんでこれをやるのか?」ということを理解しているのと、していないのでは効果が変わってくるのは当然です。これまでは会員ランクとポイントが付与されるくらいが会員メリットだったので「なんとなく」でしか訴求していなかったというのが本当のところでしょうし、特に本社からも登録の重要性を説かれていなかったので仕方ないことだと思います。

そこで登録してもらうことで、今後実施する予定であるステップメールによって初回購入から2回目購入に引き上げる方法、離反顧客に向けての内容、誕生日や会員ランクに応じた特別プログラムの存在をデザインイメージと共に明確化して共有させていただきました。

するとどうでしょう。6月に途中から会員登録の強化をお伝えしたのに、この月の登録率が18.8%と引き上がってきました。

table2

 

特典の変更と共に伝え方の変更を全店に展開することで、さらに登録率がアップ!

スタッフの方の意識改革によって改善の口火が切られたわけですが、やはり根本的な部分を改善しない限り、より大きな改善そして継続的な引き上げはなされません。そこでまずは特典の変更をしました。上の登録フローに、登録時の特典として「次回のお買い物で使える入会ポイント100ポイント」というのがあると思います。

これを見た時に「 たった100ポイント (=100円分)。しかも使えるのが次回の買い物時じゃ厳しいな 」と思いました。そこで「今すぐ使える入会ポイント500ポイント」に変更。これによりスタッフの補助の元、レジにて登録完了まで持っていくことができます。ここでのポイントは付与ポイント数の増加ではなく「今すぐ使える」という点が配布率にもフォーム登録率にも大きく貢献してくれると期待していました。

また全店の会員登録率を見てみると一店舗だけ高い店舗がありました。その店舗は配布率が他店に比べると倍近く、フォーム登録率は他店と比べても差はない。そこでカード配布の際にどんな声がけをしているのか店長にヒアリングを行いました。

そうすると他店舗では「会員カードをお作りしますか?」と聞いていたのですが、この店舗では「会員カードをお作りしておきますね!」と声がけしているとのこと。なるほど!確かに YES か NO で聞かれれば NO の選択肢を頭に入れてお客様は検討に入る。でも「お作りしておきますね!」と言われたら、かなりの確率で YES の回答を得られるはず。

そこで会員カード作成の確認時には「会員カードをお作りしますか?」という相手にボールを持たせる疑問系から「会員カードをお作りしておきますね!」という声がけに全店変更してもらいました。

先ほどの登録フローにするとこんな感じ。

step2

これらの取り組みによって7月には、改善前と3倍近い会員登録率を達成。

table3

 

目的に合わせて、最低限の項目のみに登録フォームを改善

残る課題として、レジ元で会員登録をしてもらう際の煩わしさと時間を解決したいと考えていました。改善前、会員登録のために必要な情報は、名前・メールアドレス・生年月日が必死項目。任意として住所とDM希望のチェックでした。

でもせっかく会員カードを作成してお渡ししているので、ここは限りなく100%に近づけたい。そこで登録フォームの改善を進めます。まずはメールを送れる関係になることが重要でしたので、登録はメールアドレスのみで完了するように変更しました。

さらにお得な情報を受け取りたい方は、後ほど会員ページから追加で生年月日や住所を登録していただく、という手順。よくばらないで敷居を下げる方法ですね。

step3

 

これによってフォーム登録率は一気に20%以上引き上がり、安定して90%以上の方のメールアドレスを取得することができるようになりました。結果、会員登録率としては改善前が10%程度だったものが40%以上の方とメルマガで繋がる関係性を築くことができました。

table4

まとめ

スタッフの方々の意識づけ
なぜ登録してもらうことが重要か? 登録していただいた後に具体的な施策内容と期待される効果。 といった取り組みの背景や狙いを現場スタッフの方に理解していただく

特典の改善
意識したのは特典の大小よりも「次回ではなく今回」というお客様が思うことに沿った内容に変更

声がけの改善
「お作りしますか?」という断りやすい尋ね方ではなく「お作りしておきますね」という、自分たちが意図する方向性へ導く声がけの内容に変更

登録フォームの改善
目的を明確にして ( = 今回の場合では継続率を改善するためにCRMを実施したいので、メールを送れる会員数を増やしたい ) 必要な内容にフォームを絞る。メールさえ登録していただければ、追加情報を入力してもらうための訴求も後々できるという思惑もありました。

以上が実店舗での会員登録を促進するために施した改善内容です!コストの都合でシステムや特典の変更ができない場合でも、声がけの方法は変更できると思うので、ぜひお試しください!

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野田 大介

野田 大介

株式会社ファナティック代表取締役
月刊誌Ollie magazineの編集者からキャリアをスタート。その後は、フリーライターとしてhoneyee.comやLightningなどでの執筆、複数のアパレル企業で商品企画、生産管理、店舗/卸営業、通販業務を歴任。現場の最前線で培った通販の運用実積に加え、メディア業界で培ったコンテンツ・マネージメント力、そして長年のアパレル経験と、アパレル通販を運営する上で必要な知識と現場経験の両面を網羅。趣味、というか生きがいは「買い物」

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