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ニットを求めて500km! 気仙沼ニッティングの販売店「メモリーズ」に行ってきた!

ニットを求めて500km! 気仙沼ニッティングの販売店「メモリーズ」に行ってきた!

気仙沼ニッティングの持つストーリーを体験しにヘッドショップ「メモリーズ」へ

こんにちは野田 (@KURUZE) です。
東日本大震災から4年を迎えた週末の3月14・15日、私は気仙沼にいました。

目的は、震災をきっかけに誕生した「気仙沼ニッティング」のヘッドショップ「メモリーズ」にて、同社が手がけるMM01という手編みのニットカーディガンの試着と採寸のため。

繰り返しますが【 試着と採寸 】のため「だけ」です。さらに付け加えると、このニットカーディガンのお値段は15万1,200円 ( 税込・配送手数料別 ※2015年3月現在 ) と、とても高額です。しかも申し込み順の受注生産の為、届くのがいつになるかも分かりません。

それなのに、わざわざ東京から500km以上電車を乗り継いでまで訪れたのは、気仙沼ニッティングが持つストーリー(※1)に共感したからに他なりません。

※1
気仙沼ニッティングが持つストーリーやミッションは、これまで様々なメディアに紹介されていますので、詳しくは下記の記事をご覧ください。

いいものを編む会社。気仙沼ニッティング物語

1着15万円のカーディガンに注文殺到! マッキンゼー出身者が発掘した、地方ビジネスの可能性とは?

「最高級の編みもの、仕事の誇りに」 気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さんに聞く、ある東北の働きかた


好きなアーティストのライヴに行くのと同様、ファンの1人として実際に現場を体験したいと願うのは当然の流れ。

そこで今回は、気仙沼ニッティングのヘッドショップ「メモリーズ」訪問レポートをお届けしたいと思います。


きっかけは販売方法の変更。抽選から受注販売への変更で「待てば」確実に手に入るように!

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今回、私がメモリーズを訪れることになる直接のきっかけ。それはMM01の販売方法の変更です。もともとMM01はネットで「抽選販売」という方法で販売されていました。

気仙沼ニッティングの商品は、気仙沼の編み手さんが1着1着、その手で編みあげていくことで完成します。特にMM01のアラン模様を編み上げていくには、高度なスキルが求められるため網み手が限られてしまう。そこで仕方なく抽選販売という手法で、これまでは販売していました。

しかし販売から2年と少し。編み手さんの人数とスキルが上がり、以前より安定してMM01を生産できるようになったことで、2月末より「受注生産」へと切り替わりました。

つまり「待てば」確実に手に入るようになったのです。となれば、試着・採寸して確実なサイズで作っていただきたい。これが「メモリーズ」を訪れることになった直接のきっかけです。

 

溢れんばかりのストーリーが自然と伝わる心地の良い店内

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このメモリーズ。2015年3月のオープン日は、14・15日の2日間だけ。場所は、気仙沼港を見下ろす小高い丘にあります。すぐ脇にある気仙沼プラザホテルに宿泊していたので、場所はすぐに分かりました。

オープンの11時少し前にお店につくと、すぐに他のお客さんが訪れます。同時に編み手の方と思われる方が出勤してきたので、その方に率いられお店に入店。

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店内はエチュードと名付けられたプルオーバーニットや、マフラー・ニット帽が置かれた平台が1つ。

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そしてそのエチュードがかかったラックが1つ。

他にはリズム-Aと呼ばれるフェアアイル・ニット、MM01、ニット帽とマフラーのセットがそれぞれ額縁のようなデザインのラックに飾られています。

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 気仙沼ニッティング

そして通称「鶴の間」と呼ばれる靴を脱いで上がるスペースには、オリジナルメジャーとポーチキットが置かれており、すぐ横にあるテーブルでは編み手さんが作業をしています。

この日は、オリジナルメジャーのポーチキットを買って、編み手の方に教わりながら自分で編めるワークショップも開催していました。

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tag
店内に貼られた気仙沼ニッティングのヴィジョン、商品1つ1つに付けられた固有のIDと編み手さんのイラストが入ったタグ、そして実際の生産者の方の作業風景。

小さな店内でしたが、商品が「どんな考え」のもと、「どういう工程」を得て、「誰が」作り出しているのか、そんな溢れんばかりのストーリーが【 伝わって 】きます。

全然宣伝じゃないんです。すんなりと自然に感じ取れる、そんな不思議な空間です。

 

細かな要望にも応えてくれるオーダーメイドの魅力。納品の目安は1年先!

そして嬉しい誤算が1つありました。ネットでは販売準備中だったエチュードがメモリーズでは販売しており、その場で持ち帰れるとのこと。MM01はオーダーですので、支払いはまだまだ先。ならエチュードも当然買いです。

早速、店員の方にMM01のオーダーとエチュードの試着希望を伝えます。すぐに「鶴の間」に通され、生成り、ネイビー、チャコールグレーの3色を試着。最高に楽しい瞬間の始まりです。

どっぷり裏原宿の洗礼を浴びて育った私は、アラン模様のフィッシャーマンニットといえばグッドイナフのイメージが刷り込まれており、カラーはネイビーと決めていました。

いざ試着すると、生成りは可愛すぎて自分の中で早々に脱落。お次は本命のネイビー、うんしっくりくる。最後にチャコール、これも捨てがたい。そんな攻防戦を10分程繰り返し、結局カラーは初心に戻りネイビーに決定。いよいよ採寸に移ります。

size

採寸は、編み手の方が作業を中断して担当してくださいました。まずは希望サイズに1番近かった生成りのカーディガンを着て採寸がスタートします。

最初に肩幅を測ります。お次に袖丈。どうやら利き腕である右腕の方が1cm長いらしい。ここで袖の長さを左右変えて手の長さに合わせるか、袖の長さを左右で揃えるのか決めていきます。これがオーダーメイドの魅力。せっかくなので、右の袖丈を1cmアップでお願いします。

次に着丈ですが、これはそのままでOK。最後の身幅は若干細身が希望だったので、左右1.5cmずつマイナスしてもらうことで採寸は終了しました。

最後にオーダーの受付を行います。住所や氏名といった連絡先を記入して注意事項の説明を受けます。ここはサイトに記載されている通り。

そして気になる納期については現在71人の方が待っており、目安として1年はみてほしいということでした。こればかりはしょうがない、楽しみに待つしかありません。

これでMM01の手続きはすべて終了。次はエチュードの試着です。

 

商品クオリティもさることながら、購入体験をさらにあげる付属品の数々

エチュードのモチーフとなったガンジーセーターは、前後の区別がなく着用できるようにネックラインが同一の高さというのが一般的だと思います。

しかしエチュードは前開きが若干深くデザインされています。個人的にこのディテールの変更は大歓迎! この少しの変化だけで一気に着こなしの幅が広がります。

サイズについては、女性向けのSサイズと男性向けのMサイズの2サイズがラインナップされています。Mサイズ試着するとピッタリ( =ちなみに私の身長は170cm )でしたので、色はMM01と同じネイビーに決定!

MM01でも感じたことなのですが、カラーによって毛糸の風合いや柔らかさに若干の違いがあるように感じました。生成りはソフト、ネイビーはやや堅めでしっかりした風合い、チャコールはその中間という感じで。

商品は、気仙沼ニッティングのロゴが型押しされたエチュード専用の化粧箱に入ってきます。中には洗濯方法と、編み手の「もとこさん」と代表の「たまこさん」の直筆サインが入った証明書が同封されています。

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エチュード専用ボックス。表面にロゴが型押しされ、左下にはモデル名が印字されている 

manual
↑詳しい洗濯方法と証明書
。編み手の方と検品を担当してくれた代表の方のお名前が、直筆で記載されている

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↑ガンジーセーターの模様はアームホールや裾に施されることも多いが、エチュードはヨーク部分に模様が入る

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↑背中にも美しい編み模様が浮かびあがります。1つ1つ編み上げてくれた、もとこさんに感謝です


訪問を終えて……

メモリーズ訪問の前の晩に立ち寄った「復興屋台村 気仙沼横丁」のパンフレットを開くと、こんなページがございます。

はまらいん?

【 混ざっていけ~ 】という意味を持つ、地元の方言だそうです。

実際、気仙沼駅で出会ったタクシーの運転手さん、メモリーズ訪問の前の晩に立ち寄った気仙沼横丁の店主の方、その店で席を共にした復興ボランティアの方々。

皆が口々に言っていたのが「わざわざ気仙沼に来てくれてありがとう」という感謝の言葉でした。そして自身の体験談を懇切丁寧に語ってくれました。

今回の訪問で体験したこれらのエピソードは、自分の中で商品に紐付くストーリーとして刻まれます。自分が共感しファンとなった気仙沼ニッティングのストーリーに、自分が体験したストーリーが【 混ざっていく 】。

そんな自身の思い入れが編み込まれた1着は、当然、価格比較なんてしようがありません。

納車を待つときのウキウキ感に似た「相棒」を待ちわびる感覚。それが1年間味わえるという嬉しくもあり待ち遠しくもある贅沢な時間は、エチュードと共に待ち続けたいと思います。


※3月25日(水)から4月7日(火)の間、伊勢丹新宿店のメンズ館8階にてエチュードの受注会が開催されるとのこと。

それに合わせて3月28日(土) には、気仙沼ニッティングの代表取締役社長の御手洗瑞子さんと服飾史家の中野香織さんによるトークセッションが開催予定だとか。詳しくはこちらをご覧ください。

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野田 大介

野田 大介

株式会社ファナティック代表取締役
月刊誌Ollie magazineの編集者からキャリアをスタート。その後は、フリーライターとしてhoneyee.comやLightningなどでの執筆、複数のアパレル企業で商品企画、生産管理、店舗/卸営業、通販業務を歴任。現場の最前線で培った通販の運用実積に加え、メディア業界で培ったコンテンツ・マネージメント力、そして長年のアパレル経験と、アパレル通販を運営する上で必要な知識と現場経験の両面を網羅。趣味、というか生きがいは「買い物」

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